松山大学情報学部に教授として着任したばかりの SKIBBE Henrik(スキッベ・ヘンリック) と申します。ドイツ出身で、フライブルク大学の情報学部で博士号を取得しました。約20年前、学生時代に交換留学生として松山大学に来たことがあり、今回またこの地に戻ってくることができてとても嬉しく思っています。2013年に日本に戻り、京都大学で特定研究員・特任助教を務めた後、2019年からは理化学研究所で脳画像解析技術の開発を行うユニットリーダーとして勤務してきました。
専門は画像解析とディープラーニングで、これまで MRI や CT などの医用画像、神経・脳の顕微鏡画像を中心に研究してきました。ただし、それ以外の分野にも幅広く興味があります。昔からゲーム開発にも関心があり、研究のサポートのために JavaScript を使ってウェブアプリを作ったりもしています。最近は、ゲームと画像解析のつながりにも興味を持ち、少しずつ勉強を進めているところです。子どもの頃はレゴに夢中で遊んでいて、最近また時間のあるときにレゴ作品を作ったりしています。
最近の研究成果にご興味がある方は、ぜひ私たちの研究紹介ページをご覧ください。https://bia.riken.jp 松山大学の皆さん、どうぞ気軽に声をかけてください!日本語・ドイツ語・英語、どれでも大丈夫です。
ちなみに、「スキッベ先生」と「ヘンリック先生」のどちらで呼べばいいか迷っている方は、どちらでも構いません。形式的には「スキッベ先生」が正しいかもしれませんが、個人的には「ヘンリック」の方が口にしやすくて好きです。
この図は、2つの脳画像をディープラーニングモデルを使って位置合わせする方法(レジストレーション)を示しています。 (a) 最初に、固定画像(基準となる画像)と移動画像(位置を合わせたい画像)を入力(input)して、レジストレーションネットワークに与えます。このネットワークは、移動画像(moving image)をどのように変形すれば固定画像(fixed image)と一致するかを学習します。出力として得られるのが変形フィールド(deformation field)で、脳画像上の黄色いグリッドで表され、どの部分をどのように動かすかを示しています。 (b) この変形フィールドを移動画像に適用することで、移動後画像(moved image)が得られます。これは固定画像に位置合わせされた画像で、より近い形になります。
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左のニューロン画像のスケルトン(skeleton)画像を入力して、生成ネットワークがリアルな顕微鏡のニューロン画像を出力します。右側の4枚は、生成された多様なサンプル画像です。入力画像の下には、そのスケルトンに対応する実際の顕微鏡画像を示しており、生成画像との比較が可能です。 本タスクでは、スケルトンのトポロジー(枝のつながりや構造)を正確に保ったまま画像を生成できるよう、ネットワークを設計・学習させることが大きな課題となります。
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高校生の頃から、ゲーム開発にとても興味がありました。当時はまだ Unreal、Unity、Godot のように、ゲーム開発に必要な機能が統合されたソフトウェア(いわゆる「ゲームエンジン」)はほとんど存在していませんでした。そのため、C++とOpenGLを使って、自分でゲームを作っていました。画像などの素材も、できる限り自分で描いていました。
現在は、オープンソースで自由に使えるゲームエンジンであるGodotを学んでいます。Godot を使って、ゲームと画像解析を結びつけられたらいいなと思い、その可能性について少しずつ勉強を進めています。
Godot のプログラミング言語(GDScript)は Python によく似ているので、初心者にもとてもわかりやすいと思います。Python はディープラーニングの分野でも広く使われていて、とても楽しいので、ぜひ皆さんも使ってみてください。
高解像度の脳画像を、手軽にウェブブラウザ上で表示できるようにするため、JavaScript を使って高解像度画像ビューアを自作しました。初めての JavaScript で、正直スパゲッティコードだらけですが(笑)、意外とちゃんと動いています。ぜひ画像をクリックして、コモンマーモセット脳画像の美しさをご覧ください!
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